日本企業のCDS保証料、過去最高水準に
株式会社ニッポン 信用がた落ち 欧米銀などが不良債権増加を警戒
D 昨年末の金融危機の震源地になってきた信用デリバティブ市場がきな臭いね。
G 日本企業のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料が跳ね上がっている。
代表的な50銘柄で構成する指数のアイ・トラックス・ジャパンは現在500強と過去最高水準だ。
この指数は企業の信用力が下がるほど逆に上がる。2008年3月のベアー・スターンズ危機の時で200前後、昨年のリーマン・ブラザーズ破綻時の株価暴落時でも300〜400程度だったから異常値だよ。
I 昨年末、CDS市場は先行して異常を察知してきたから、気になるね。公的資金の買い支えという”ノイズ”が混じっている株式市場より、日本の実態を表しているんじゃないか。
(日経ヴェリタス2009年3月8日71面放電塔金融記者座談会)
【CFOならこう読む】
クレジットデフォルトスワップ(CDS)は、債権を直接移転することなく、信用リスクのみを移転することができるデリバティブ取引です。
CDS取引では、「プロテクション」を売買するという概念を用い、信用リスクを移転します。
保有債権等の信用リスクを回避したい場合、CDS取引ではプロテクションの買い手となります。 プロテクションの買い手は、取引相手となるプロテクションの売り手に対し、信用リスクに基づく対価(「プレミアム」といいます。)を支払います。
【プレミアム計算例】
■ 契約元本金額は、5億円とする。
■ プレミアム(利率)は、年率12bp(ベーシスポイント)とする。
■ プレミアム支払日は、3、6、9、12月の各20日とする。
■ 日数調整方法は、支払日までの実日数(90日とする)を360日で按分する。⇒この前提の場合、次の支払日におけるプレミアム支払額は、以下のとおりとなる。
契約元本金額×利率×(実日数÷360日)
=5億円×12bp×(90÷360)
=15万円
日経ヴェリタスの座談会では、消費者金融などの一部の銘柄のプレミアムが上昇しているためにアイ・トラックス・ジャパンが急騰しているといった趣旨の発言があります。
2009年3月6日現在のCDS参考値のうち10%以上のプレミアムになっている銘柄は以下の通りです。
大成建設 14.80% 西松建設 21.25% 荏原製作所 13.10% IHI 12.10% 丸紅 12.60% パイオニア 36.33% アイフル 45.80% 武富士 38.40% プロミス 13,37% オリックス 20.50% 全日本空輸 10.52% 日本航空 16.57% ソフトバンク 18.10%
「流動性低下という日本特有の事情を割り引いても、スプレッド(プレミアム)の拡大は日本企業の信用力の劣化の証拠」との指摘もあり、今まで以上に資金調達は厳しくなることが予想されます。