年初の予想

「日本株が主要工業国で最も上昇する」。米投資ファンド、ブラックストーン・グループの著名ストラテジスト、バイロン・ウィーン氏は5日、毎年恒例の10項目の「びっくり大予想」を発表した。今年は日経平均が為替の円安と輸出の回復をテコに1万2000円を超えると予想する。円ドル相場は1ドル=100円超まで下落するとしている。
(日経ヴェリタス2010年1月10日7面)

【CFOならこう読む】

バイロン・ウィーン氏が50%以上の確率で起こると考える「2010年10大びっくり予想」は次の通りです。

「1.米実質成長率は5%超、失業率は9%未満に
2.米連邦準備理事会(FRB)がゼロ金利解除、政策金利は年末までに2%
3・多額の米国債発行で長期金利が5.5%超に
4・米S&P500は1300まで上昇するが、年末には2009年末の水準に
5.ドルは上昇。円相場は1ドル=100円超
6.日本株は主要工業国で最大の上昇、日経平均は1万2000円超に
7.米オバマ大統領が主導し原子力発電を後押しする法案成立
8.米景気回復でオバマ政権の人気持ち直す
9.金融規制は金融業界よりの内容に
10.イランのアハマディネジャド大統領が失脚」(前掲紙)

要するに米景気回復→金利上昇→円安→日本の輸出企業の業績回復→日本株上昇というストーリーなんでしょう。記事ではフィナンシャル・タイムズ紙がコラムで今後10年の株式では日本株が最も上昇すると予想しています。

「理由を株主資本利益率(ROE)の改善に求めた。日本企業のROEは金融危機前でも7~8%と、15%超の欧米企業も下回ってきた。同紙のコラムは低ROEをむしろ今後ののびしろとみている」(前掲紙)

サステイナブル成長率=ROE×(1-配当性向)であり、株価はこれと比例しますから、ROEの上昇は株価の上昇につながります。

しかしこれが一時的なものでは意味がないわけで、収益構造を抜本的に改善しROEの水準が15%超を持続するように変革するのは相当ハードルが高いように思います。また持続可能な水準としてROE15%超という水準が本当に妥当なのか、という疑問もあります。業種業態にもよりますがROE10%を長期に持続することの方が短期的に高ROEをたたき出すより意味がある、という思いもあるのです。

いずれにしても円安でしか日本株上昇の展望が開けない、というのは情けない話です。

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なし