ドルが基軸通貨でなくなることの意味

「米ドル、もはや唯一の基軸通貨ではない」 仏大統領

【パリ支局】AFP通信によると、フランスのサルコジ大統領は13日、「米ドルはもはや唯一の基軸通貨ではない」と語った。14日にワシントンで開幕する緊急首脳会合(金融サミット)でも同様の主張を展開する見込みだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081114AT2M1401614112008.html

【CFOならこう読む】

サルコジはユーロこそが次の基軸通貨だとでも言いたいのでしょうか?
ならば、それは間違いだと教えてあげなければなりません。

-下手をすると、日本がもっているドルも紙切れになるかもしれない。
岩井 このゲームがどうなるかが、ここ十年のポイントでしょう。理想的に言えば、世界中央銀行ができるしかないんだけれど、これはたいへんに難しい。ヨーロッパのなかでさえ、ユーロ中央銀行でだれが主導権をもつか、そしてユーロ中央銀行と各国の経済政策に関する主権との関係がほとんど解けない大問題になっているわけですから。だから、ここしばらくは二面作戦でいくよりほかないと思います。
ひとつは、書生的な言い方ですが、たとえいくら困難であろうとも、世界中央銀行への足がかりとなるような国際機関や国際制度を、少しずつ地道につくりあげていくことです。もうひとつは、ひどくコンサバティブな言い方ですが、ほんとうの世界通貨ができるまで、なんとかドル基軸通貨体制をもたせていくこと。そのためには、脅しとかいろんなかたちで、アメリカに基軸通貨国としての責任を忘れないようにしなければならない。ぼくは、ユーロの登場は、そういう意味での脅しであるかぎりは、非常に意味があると思う。だが、第二の基軸通貨としてドルの簒奪をねらっているのだとしたら、それはものすごく危険です。基軸通貨とはひとつしかないことに意味があるのであり、複数の基軸通貨の共存などというのは、これだけ世界経済が一体化した現在においては、ありえない。脅しが行きすぎると、元も子もなくなる。

ードルが揺らぐと、これはほんとうに世界危機になる。そのなかで日本がどうなる
か。
岩井
心中でしょう。ユーロのほうは大丈夫だと思っているだろうけれど、ユーロがもっているユーロダラーというのは膨大です。ドル危機が本格化したら、ユーロだって危機に陥る。ユーロはある程度は穏便にいくように振る舞うしかない。」
(「資本主義から市民主義へ」 岩井克人 新書館)

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