サービス収支改善ーキーワードは「観光立国」と「クールジャパン」

日本の貿易収支は2011年、48年ぶりの赤字(財務省の国際収支統計ベース)に陥った。「経常収支の黒字を維持するために、所得収支の黒字をもっと増やそう」という論調があふれるなか、その陰に隠れて見過ごされがちなのが、サービス収支だ。まだ赤字とはいえ、同収支が中長期的に改善してきているという事実は以外と知られていない。
(日経ヴェリタス2012年5月6日10面)

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サービス収支は、赤字ではあるものの1996年の6兆5312億円の赤字から、2011には1兆7616億円の赤字まで改善しています。サービス収支は、「輸送」「旅行」「その他サービス」から構成されます。

「このうち旅行収支の赤字(1兆2963億円)がピークの約3分の1まで減ってきたことがサービス収支の改善要因になっている」(前掲紙)

また、その他サービス収支には、特許収支が含まれますが、これが2003年に黒字へ転換しており、これもサービス収支の改善に寄与しています。

特許収支は、工業権・鉱業権使用料(2011年は1兆3593億円の黒字)と著作権等使用料(2011年は5692億円の赤字)に分けられます。

「観光庁は「2020年初めまでに訪日外国人を年間2500万人(2011年は621万人)に増やす」目標を掲げ、2012年度は49億円の予算を投じ、中国や米国などで広報活動を展開する。経済産業省も日本のブランド化戦略に向け、2012年度は10億円の予算を確保した」(前掲紙)

キーワードは、「観光立国」と「クールジャパン」です。訪日外国人向けのサービス、及び海外からの特許権や著作権使用料が、これから日本企業にとって重要な収益源になりそうです。

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